こんにちは、Jeff.Naoです。
ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプトというテーマで、スマートマネーコンセプトについて比較的優しく理解してもらうおうという事がテーマのこのセッションですが、今回は3回目のセッションとなります。
前回のセッションは相場におけるインバランスについての解説を行いましたが、今回はその節で少しだけ触れらせてもらった、スマートマネーの市場操作(マニピュレーション)についての解説をしていきたいと思います。
もし、前回のセッションをまだ見ていない方は是非一度こちらを読んでみて下さい。
端的に言うと、市場操作(マニピュレーション)とはその名の通り、スマートマネーをはじめとした、巨大な資金力を持った市場の参加者がその力を持って、市場の流れをコントロールする、あるいは自らの利益を獲得する為に介入してくる行為となります。
スマートマネーによる市場操作は、需要と供給による市場のバランスを安定させる健全な役割と、資金力の少ない個人トレーダーの資産を刈り取って利益を奪うという二面性を持っており、市場の倫理観に反していると思われる一面を持っています。
トレーダーにとって身近なもので言うと、いわゆる「ダマシ」や「ストップ狩り」と呼ばれるものは、スマートマネーによる市場操作によって発生する確率が高いです。
スマートマネーコンセプトにおいても、スマートマネーが行う市場操作の原理を理解しておく事はとても重要ですので、しっかりと基本から理解していきましょう。
市場操作(マニピュレーション)の基本
市場操作とは、スマートマネーをはじめとした大口の投資家や機関投資家が、その巨大な資金力を活用して市場に介入し、価格や流動性を操作することを指します。
この介入は、単に市場に参加するだけではなく、市場全体の主導権を握って市場の流動性を高めて取引の活発化を誘導させたり、価格の動きを先導して特定のポイントに誘導することを目的としています。
例えば、市場が流動性が低く取引が困難な状況では、スマートマネーもトレードで抱えるリスクが大きくなる可能性があります。こういった場面では市場参加者の心理や市場の動向を読み取り、「〇円になったら買いたい」「〇円になったら売りたい」という流動性が上がって利益を出しやすいポイントを先回りして分析します。そして、大量の資金を投入することで市場操作を行い、利益を得る狙いがあります。
市場においては、どんな場面でも急に大きな値動きが起こる場面や、突然取引量が増える可能性があります。このような動きは、スマートマネーが市場操作を行うことで引き起こされている可能性が高く、特に市場の流動性が低い場面での急な価格変動の背景にはスマートマネーの市場介入が影響しているケースが非常に多いです。
ポケモンカードの業界でも市場の操作は行われている
実は、こういった市場操作は一般的なビジネスにおいても様々な場面で行われており、ポケモンカードをはじめとしたトレーディング業界もその限りではありません。むしろ、こういったトレカ投資と言われる様な形で投資となり得る商品は、市場操作が価格変動の大きな要因の一つとなっています。
一般プレイヤーよりも資金力があり、情報量も豊富な大手のトレカショップをスマートマネーに置き換えて例えてみましょう。需要が高く供給が少ない超人気のレアカードがあった場合、トレカショップは買取り強化キャンペーン等を行って、大量に買い集めて在庫を確保していきます。
こうした流れは業界全体に浸透し、他のトレカショップでもそのカードの需要が高まる事になり、「これから更に価値が上がりそう」という心理が市場全体に植えつけられて価格が高騰していきます。そして、最初に在庫を集めたトレカショップは価格が一定水準まで高まった時に売り出して、高騰した分の利益を確保します。
この様に、需要と供給のバランスが崩れて特定の商品の価格が急騰する様な出来事は多々あり、その背景には巨大な資金力による市場操作が行われているというケースは非常に多いです。
【市場操作の基本とおさらい】
・市場操作とは巨大な資金で市場の流れに「介入」する行為
・市場操作によって市場の流動性を高める
・流動性が低い場面で市場操作は行われやすい
相場において実際に行われている市場操作
スマートマネーをはじめとした巨大な資金を持った市場参加者は、様々な戦略を立てて市場操作を行い、相場で利益を得る為の主導権を握ろうとしています。
では、具体的どの様な市場操作を行っているのか、主だったものを3つ挙げてみます。
需要の操作
まず一般的な市場操作として挙げられるものが需要である買い手の操作です。上記のポケモンカードがこの例に当たり、市場の買い手の心理を操作して価格を上昇させる様に誘導します。
目的としては大量の買い注文を出す事で、市場の心理を「これからもっと上がるかもしれない」という方向に誘導して、相場のバランスを買い手の方に傾かせ、ある程度の価格までの上昇を誘導した後に、一定水準の価格で売却してその差額で利益を確保します。
また、市場において安くなりすぎてしまっている市場に対して、大量の買い注文を行う事で価格を吊り上げ、需要と供給のバランスを調整します。
供給の操作
需要の市場操作と同様に供給側である売り手の心理を操作して価格を下落させる戦略もあります。
目的としては大量の売り注文を出す事で、市場の心理を「これからもっと下がるかもしれない」という方向に誘導して、相場のバランスを売り手の方に傾かせ、ある程度の価格までの下落を誘導した後に、一定水準の価格で利益を確保します。
また、市場において高くなりすぎてしまっている市場に対して、大量の売り注文を行う事で価格を下落させ、需要と供給のバランスを調整します。
情報操作
スマートマネーは市場の参加者が持つ情報を操作することもあります。例えば、企業が公表する決算情報や業績情報を積極的に流す事で、市場の透明性を高め、参加している投資家がより合理的な投資判断が出来る様に市場参加者の心理を誘導します。
ポジティブな情報が流れれば、市場の買い手が増えて価格の上昇に反映され、ネガティブな情報が流れれば売り手が増えて価格の下落に反映されやすくなります。
ただし、こういった情報操作による市場操作は、相場の倫理観に反する様な方法が取られることもしばしばあります。虚偽情報や不正確な情報を流すことで市場に混乱を招いたり、インサイダー情報と呼ばれる未公開情報を利用して市場操作を行うケースもあります。
市場の流動性の確保や、需要と供給のバランスを調整することを目的とした市場操作は、仮にスマートマネーが自らの利益を得ることが前提だとしても市場の安定化、健全化のために許される取引行為だと言えます。しかし、虚偽情報の流布などをはじめとした相場に混乱をもたらす情報操作によるものは完全に悪質な市場操作だと言えるでしょう。
例えば、悪意を持った大手トレカショップが高額なポケモンカードの偽造品を本物と偽って大量に市場に流通させた事で、「あのカードは偽物のカードも出回っている」という情報操作を市場に与えた事によって、本物のカードも信用を低下させる事になり、カードの相場が暴落します。
偽造品を流通させたトレカショップはこの暴落を狙って本物のカードを安く大量に買い集めた後に、やがてポケモンカードの偽造品の対策の整備がされて価格が適正価格に戻ってきた頃に売却する事で利益を得る事が出来ます。
こういった情報操作は市場に混乱を与えて不正な利益を得る様な市場操作であり、倫理観から外れた行為であると言えるでしょう。巨大な資金の操作によって参加者に様々な影響を与える市場では、こうした悪質な市場操作を監視し、防止する対策も取っていく必要があります。
【スマートマネーが行う市場操作のおさらい】
・大量の資金を投入して需要又は供給の方向に誘導する
・市場操作によって需要と供給のバランスを調整する
・情報操作による市場操作は悪質で倫理観に反するものが多い
市場操作とスマートマネーコンセプト
市場操作が行われる事によって、そのタイミングでの市場の価値の信頼性が異なり、需要と供給のバランスが崩れやすくなります。こういった市場の対策は様々な場面で行われる為、個人のトレーダーが完全に対策することは難しいと言われています。
しかし、自身のトレードにスマートマネーコンセプトを取り入れる事で、スマートマネーの戦略の意図を読み取り、一定の対策と、彼らの戦略の流れに乗る事で利益を生み出す戦略を立てる事が可能となります。
スマートマネーの市場操作をスマートマネーコンセプトで活用する方法をいくつか挙げてみます。
市場操作における流動性の変化を見極める
スマートマネーコンセプトにおいては、ファンダメンタルズと呼ばれる国や企業の経済活動状況の指標などに左右されにくい特徴を持っている事から、目の前のチャートで次々に変化する相場に対して、流動性や需要と供給のバランスを読み取り、次に取る行動を正確かつ客観的に判断する事が非常に重要となります。
スマートマネーが行う市場操作は相場の流動性を変化させる目的を持っている可能性が非常に高く、スマートマネーコンセプトにおいてはこういった市場操作は利益を生み出すエントリーポイントを見つける上でも非常に相性が良い材料となるでしょう。
これらを分析して、将来の値動きを先読み出来るスキルを身に付ける事で利益を手にするだけではなく、リスクも最小限に抑える事て損失を少なくする事が出来る様になります。
トレンドにおいての取引も有利になる
スマートマネーコンセプトでは、市場における現在のトレンドを正確に把握する事で、市場操作が行われた時にある程度のスマートマネーの意図をくみ取る事が出来る様になります。
現在のトレンドのある場面において、スマートマネーが何故そのタイミングで巨大な資金を投入して市場操作を行ったのか、彼らはそのトレンドを継続させる事を望むのか、はたまた転換を望むのか、それらを読み取る事が出来る様になれば、リスクを抑えつつ有利な戦略を立てられる様になります。
インバランス発生時の戦略を取る事ができる
市場操作が行われると、一時的に相場の需要と供給のバランスが大きく崩れる、つまりはインバランスが発生する可能性が非常に高くなります。スマートマネーは相場でインバランス発生時において、そこから利益を獲得する為の豊富な戦略を持っています。
相場のインバランスについては前回のセッションでも詳しく解説しています
言い方を変えると、彼らは得意とする場面で利益を得る為に、意図的にインバランスを発生させようとします。その手段として取られるものの一つが市場操作です。
つまりは、スマートマネーの流れに乗る事を目的としたスマートマネーコンセプトにおいては、市場操作が行われたタイミングは、自身も利益を獲得するチャンスであるという事です。
【市場操作とスマートマネーコンセプトについてのおさらい】
・市場操作によって変化する流動性は相性が良い
・トレンドのその後の流れを読み取れる
・インバランスが発生するので、利益を獲得出来るチャンス
まとめ
いかがでしたか?
今回はスマートマネーコンセプトの概念についての基本のセッションの3つ目として、市場調査(マニピュレーション)について解説をしました。
セッションを重ねていく上で、相場の原理の少しずつイメージも少しずつ形になってきたのでは無いかと思います。
もし今まで自身でトレードを行ってきた事があるのであれば、各セッションを読みながら「そういえばあんな場面は心当たりあるな」という様な想像が出来る様になってくると、よりスマートマネーコンセプトの理解について頭が少しずつ追いついてきていると思います。
もちろん、このセッションではポケモンカードも例にしているので、金融市場とかチャートとかに苦手意識を持っている初心者でも、こういったトレーディングカードの売買等からイメージが出来れば、自然とスマートマネーコンセプトの概念も身に付いてくるのでご安心ください。
スマートマネーコンセプトというものは、非常に幅広い市場において有効な概念であり、その概念は株やFX、先物や仮想通貨と言われる様な金融商品だけではなく、トレーディングカードの売買をはじめとした投資対象となり得る商売には深く結び付いてくるものなのです。
という事で、次回以降にも用意しているセッションに付き合って頂き、もう少しスマートマネーコンセプトの学習に付き合って貰えたらと思います。
次回は市場のトレンドを形成する上で非常に重要なブレイクのポイントである、BOS(Break of structure)とCHOCH(change of character)ついて解説するセッションを行っていきたいと思います。