スマートマネーコンセプト(Smart Money Concept:SMC)とは?
スマートマネーの基本について
スマートマネーとは、単純に和訳すると賢いお金という意味になりますが、スマートマネーコンセプトにおいては、市場の大きな値動きを作れるほどの巨大な資金力を持った機関投資家、ヘッジファンド、銀行、保険会社などの参加者の事を指します。
為替、株式、債券をはじめとした金融の市場で取引を行っているのは、当たり前ですが参加者は個人トレーダーだけではありません。むしろ、世界的に見ると個人トレーダーの割合は為替市場では5%程度、株式市場では10%程度しかいません。
近年ではインターネットの普及や金融商品の多様化によって個人がこういった市場に参加するハードルが大きく下がっている背景があるにも関わらず、それでも個人トレーダーの割合はその程度です。
残る割合、つまりは為替市場では95%の割合、株式市場では90%の割合を占めている参加者はスマートマネーであり、彼らが市場の流れや価格を支配していると言っても良いでしょう。
スマートマネーに属する巨大な資金を持つ代表的な機関は以下の様なものが挙げられます。
- 年金基金などをはじめとした基金
- 保険会社
- 投資信託会社
- ヘッジファンド
- メガバンクをはじめとした銀行
スマートマネーの動向が市場の値動きを決める
本質として、マーケットの世界の原則は資本主義であり、それらを先導するのはより多くの資金を持った者です。金融市場はその最たる例であり、スマートマネーによって支配されていると言えるでしょう。市場の超少数派である個人トレーダーが、スマートマネーに対してマネーゲームで戦ったとして、主導権を握る事はあり得ないのです。
仮に数億円の資金力を持っている個人のトレーダーが、リスクを取った高いレバレッジをかけて全財産をつぎ込めば、取り扱う銘柄によってはチャートに微々たる値動きを作れるかもしれません。ただ、それらはスマートマネーにとっては全くとるに足らない出来事であり、彼らがこれから生み出そうとする市場の流れに影響を与えるものではありません。
これは、プロップトレーダーも同じです。仮にプロップファームから数千万円、あるいは1億円を越える資金の委託を受けたとしても、スマートマネーが誘導する市場の流れに対抗する術はありません。
これは都市伝説でも陰謀でもなく、市場における一般論です。金融の市場の流れはスマートマネーが資金を投じる方向に動きます。資本主義である金融市場は、資金力こそが決定権を持つからです。
金融市場では資金力こそが直接の強さであるという事は、わざわざ言われなくても何となく頭で理解人は多いでしょう。しかし実際にトレードとなると、この本質を忘れてしまったり、この本質に逆らう様な取引を行って損失を膨らませるトレーダーは驚くほどに多いです。
それはやはり、自身のトレードにおける戦略をきちんと組み立てられていない、あるいは戦略を立てる上での枠組みが間違っているからだと言えるでしょう。
スマートマネーコンセプトの原則
スマートマネーコンセプトをトレードに取り入れる上での原則は、この市場を支配しているスマートマネーの動向を分析、把握して、自身のトレード戦略に取り入れる事となります。
- スマートマネーはどこでポジションを持つのか
- スマートマネーはどこで利益を確定するのか
- スマートマネーはどの様なトレンドを作るのか
スマートマネーの考えをチャートから読み取りながら戦略を立て、その流れを掴んで同じシチュエーションで利益を獲得していく事、もっとシンプルに言えば、「スマートマネーの戦略に乗っかって利益を得る事」こそがスマートマネーコンセプトの考え方です。
スマートマネーコンセプトの生い立ち
このスマートマネーコンセプトは、市場の考え方において古くから重要視されているいくつかの伝統的な要素を、よりシンプルかつ確かな根拠を持つ形で組み合わせ、新たな解釈としてパッケージングされたものである事を説明しました。
ここで少し、スマートマネーコンセプト生い立ちについて解説します。
スマートマネーコンセプトはどこから生まれた?
スマートマネーコンセプトは「The Inner Circle Trader」(通称:ICT)により生み出されたチャート分析手法で活用されていたものだと言われています。
このICT氏は1992年から30年以上もトレードを生業としてきたイギリス在住のMichael J. Huddleston氏が運営するウェブサイトのアカウント名で、2024年現在、Xのアカウントでは47万フォロワー、Youtubeチャンネル登録者数105万人と、海外のトレーダー界隈ではファンも多く、知る人ぞ知る人気のインフルエンサーです。
近年なぜスマートマネーコンセプトが人気になっている?
ICT氏が提唱したスマートマネーコンセプトによって、スマートマネーが市場を支配して相場の流れを作るのであれば、その流れを先読みして同じ流れに乗って利益を得る事が最も有利なトレード戦略である事は世界中のトレーダー達から大きな賛同を得る事になりました。
しかし、言ってみればこれは決して目新しい考え方ではなく相場の原理から考えると至極当然の事です。では、なぜこんな当然の事が近年スマートマネーコンセプトとして注目される様になったのでしょうか?
その答えはいくつかあり、最もわかりやすいのが今まではスマートマネーの動向を知る術が非常に少なかったものが、近年のインターネットの普及や投資のサポートツールの向上によって、チャート上でも可視化しやすくなってきたのは大きいです。
例えば機関投資家による株式の売買動向は、金融庁のホームページで公表されており、誰でも閲覧することができますし、彼らの投資成績は、ファンド情報を提供している会社によって公表されており、個人のトレーダーでも大口の投資家の投資動向を参照する事が容易になりました。
また、トレードツールとしても近年MT4やMT5のインジケーターだけではなく、TradingViewの様な非常に有用なツールが普及し、スマートマネーの投資情報を可視化したり、スマートマネーコンセプトによる分析が行いやすい環境が整ってきました。特にTradingViewはスマートマネーコンセプトをトレード戦略に取り入れているトレーダーの多くが活用しています。
もう一つは普及したタイミングの問題で、ICT氏が自身のコンテンツでスマートマネーコンセプトのトレード手法を公開しはじめたのが2022年ごろからで、それ以前は似たような市場の動向を取り入れたトレード手法はあったものの、スマートマネーコンセプトとして概念をパッケージングされたものが無かったという事も大きいです。
ただ、公開から世界中のトレーダーへの普及を考えると「トレーダー界隈でバズった」と言えるのスピード感を持ち、更にはスマートマネーコンセプトが非常に有用なものであり、多くのトレーダーが自身のトレード戦略に組み込みやすく支持を得られた事がわかります。
ちなみに、日本のトレーダー界隈ではスマートマネーコンセプトについての浸透が低いです。事実、日本語で得られるスマートマネーコンセプトの情報はごく限られてしまっています。
金融市場に強くアンテナを張っている人にとっては「スマートマネーコンセプトってどこでも話題になるよね」というレベルの話なのですが、株式やFXで何度も取引を行っているにも関わらずアンテナが狭い人にとっては「何も知らない」という歪な温度差を持っているのが、日本のスマートマネーコンセプトに対する認知度の現状です。
スマートマネーについての参考動画
私たちIFCもスマートマネーコンセプトは非常に推奨しており、これから様々なコンテンツでこの理論を学んでいって貰えるものを用意したいと考えています。
ちなみに、Youtuberの「FX-EA System Project Academy」さんというチャンネルで公開されているこちらの動画で、スマートマネーコンセプトについて日本語で詳しく解説されていました。非常に参考になると思いましたので、共有しておきます。
15分程度の動画で、具体的な手法なども紹介されていますので、是非時間を見つけて視聴してみて貰えればと思います。
スマートマネーコンセプトを取り入れるメリット
ここまで、スマートマネーコンセプトについての概要を解説しましたが、それらを自身のトレードに取り入れて戦略を立てる上で、どんなメリットがあるかを説明していきます。
チャート画面での分析が非常にシンプルになる
スマートマネーコンセプトは非常にシンプルな要素でパッケージング化されています、観察、分析をするポイントはローソク足がメインとなるため、基本的にはトレンドラインを引いたり、移動平均線、MACDといったインジケーターも一切引く事を必要としないため、非常にシンプルなチャート画面となり、分析や戦略の立て方シンプルになります。
トレードで勝率が低い人の特徴の一つに、チャートが線だらけになったり、無数のサインだらけになった事でエントリーやエグジットに対しての根拠が薄まり、自身を持った戦略を立られなくなるケースが挙げられます。圧倒的な情報量に対して自分のトレードスキルが追い付いていないからです。
スマートマネーコンセプトはチャートの分析方法がシンプルで画面もスッキリしているため、自身の中でも情報処理が容易になり、根拠のあるトレード戦略を立てやすくなります。例えば、以下の様な画面でもスマートマネーコンセプトによる戦略を立てる事が出来ます。
シンプルである事は非常に重要で、初心者に対しても多くの知識や経験が必要とされませんし、仮に勝率の低いトレーダーがスマートマネーコンセプトにシフトする事になっても、抵抗なく取り組みやすくなります。
ICT氏いわく、「スマートマネーコンセプトの考え方を知ってしまうと、二度と今までのチャートを同じように見ることができなくなる」との事で、私もまさにその通りだと思います。
相場のトレンドを捉えることができる
スマートマネーは、メガバンクや保険会社、基金といった、いわゆるお金の第一級のプロです。長年培ってきた膨大で専門的な知識・経験を活用して相場のトレンドで有利な取引を行うだけではなく、自らの巨大な資金を市場に投入する事でトレンドを生み出す事もあります。
スマートマネーコンセプトを活用する事で、スマートマネーの投資行動を分析することで、相場の大きなトレンドを捉えることができる可能性が高まり、その流れに合わせた取引を行う事で、安定したトレード成績だけではなく、相場の状況によっては非常に大きな利益を生み出す事が出来るようになります。
そのため、スマートマネーコンセプトはプロップファームチャレンジや、資金獲得後の運用にも非常にも有用なため、プロップトレーダーとも非常に相性が良いと言えます。相場の大きなトレンドを捉える事が出来れば、利益を確保しやすいだけではなく、その利益を更に高めて大きな報酬を獲得しやすくなるからです。
勝率を安定させ、損失を減らす事が出来る。
スマートマネーコンセプトを取り入れる事で、スマートマネーが先導する市場の流れを先読みしながら取引を行う事が出来るようになります。スマートマネーは市場で常に安定した利益を獲得する戦略を持っているため、その流れに合わせる事が出来ればトレードの勝率も必然的に安定します。
スマートマネーコンセプトを取り入れた場合、重要なポイントはチャート上に可視化されるため、トレードの戦略においていくつかのパターンに当てはめたトレードを出来るようになります。
これらを取り入れる事で勝率が安定する事はもちろん、パターンに当てはめた上で損失を最小限に抑えたリスク管理を行うトレードを行う事も出来る様になり、トレードスキルが大きく向上するチャンスとなります。
この点でもスマートマネーコンセプトとプロップトレーダーは非常に相性が良いと言えるでしょう。何故なら、リスクを最小限に抑えたトレード戦略を立てて資金を取引する事は、プロップファームから課せられるノルマの最たるものと言えるからです。
リターンを上げることができる
プロップトレーダーとして稼いでいく上では、①安定した勝率で②損失を抑えて③高い利益を出して大きな報酬を獲得する事を考えたトレード戦略を立てていく必要があるため、スマートマネーコンセプトの手法を取り入れる事でこの条件をクリアする為のハードルはかなり低くなります。
実際、私の周りのプロップトレーダーの多くはこのスマートマネーコンセプトを主軸としたトレード手法を活用して高い成果を上げ続けているため、その有用性も常に証明され続けています。
スマートマネーコンセプトについての参考記事
このサイトでも、スマートマネーコンセプトに基づいた市場の動きの基本や手法についていくつか解説しています。今後、いくつかの記事を増やしていく予定ですので、スマートマネーコンセプトを自分のトレードに取り入れる事を検討している場合はチェックしてみてください。
ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプト
スマートマネーコンセプトはトレードにおける概念です。しかし、概念という言葉で捉えてしまうと、特にトレード経験の浅い人にとっては少し難しく感じてしまう人も多いと思います。
「ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプト」は、いくつかのセッションに分けながら、スマートマネーコンセプトの基本的な概念をより多くの人がイメージしやすいように、ポケモンカードの売買や、トレカショップを例に挙げながら解説していますので、これから学習していこうと思っている人や、スマートマネーコンセプトの大枠を知っておきたい人にはお勧めです。
ストップハンティング戦略
あなたは今までトレードをする上で「ストップ狩り」や「ダマし」という場面に遭遇して損失を受けた事はありませんか?それらはスマートマネーによる「ストップハンティング戦略」が関わってくるケースが非常に多いです。
以下の記事では、なかなかトレードで安定した成果が得られない多くの個人トレーダーが苦しめられているスマートマネーのストップハンティング戦略について解説しています。
フェア・バリュー・ギャップ
チャート画面に多く現れる市場の不均衡であるフェア・バリュー・ギャップは、スマートマネーコンセプトを理解した上でのトレード戦略を立てる上で非常に重要なサイントなります。フェア・バリュー・ギャップは別名でインバランスや、ヒドゥンギャップとも呼ばれています。
以下の記事では、チャート上に現れるフェア・バリュー・ギャップの特性、その時の市場の状態、そしてこれらを自身のトレードに手法に取り入れるポイント等について解説しています。
私たちIFCコミュニティとスマートマネーコンセプト
この記事で伝えたかった事は、まずスマートマネーと呼ばれる市場の大きな値動きを作れるほどの資金力を持った機関投資家、ヘッジファンド、銀行などが為替、株式、債券などの金融市場の流れを支配している事を改めて理解して欲しいという事。
そして、市場に参加するトレーダーはスマートマネーに対抗する様なトレード戦略を立てても、どう転んでも歯が立たないという事です。
スマートマネーコンセプトは、市場においてスマートマネーの動向だけを考え、その流れに乗っかる戦略であり、世界のトレーダーの多くが近年この考え方を取り入れて、確かな成果を出している現実があるという事です。
私たちIFCでもこのスマートマネーコンセプトを非常に推奨しており、教育や情報発信に力を入れています。何故なら、その方法が今一番現実的で、事実安定した結果を残してきているからです。
プロップファームから資金の獲得に成功して、毎月安定したトレード成績で大きな利益を獲得できるプロップトレーダーを増やしていき、コミュニティを盛り上げていきたいと考えています。
今回はこのスマートマネーコンセプトについての基本的な事を解説しましたが、今後はスマートマネーコンセプト理論に基づいた具体的な手法やパターンなども配信していきたいと思いますので、楽しみにしていてください。